2015年11月22日 ルカの福音書 祈りを教えてください

そこでイエスは、彼らに言われた。
祈るときには、こう言いなさい。
『父よ…。
ルカ11:2


解説教No.54
ルカ11章1-4節

 「祈りを教えてください」と頼む弟子たちは、祈るイエスに魅力を感じたのでしょう。イエスの活動の力は祈りではないか?と考えたのかもしれません。弟子たちにはオリジナルな祈りのイメージがすでにあったようです。祈りを教えてほしいと願ったときに「ヨハネが弟子たちに教えたように」と条件をつけています。私たちにもそれぞれ祈りのイメージが聖書の教えとは別にあるかもしれません。第一にイエスは祈りを「父よ」との呼びかけで始めることを教えておられます。アラム語の「アッバー(アバ)」で、幼い子が父を呼ぶときのことばです。「お父さん、パパ、ダディ!」と言ったところでしょう。この呼びかけは、すでに祈りのイメージを持っていた弟子たちの期待を裏切るものでした。ユダヤ人が神の名を呼ぶとき、「神」の前に長い修飾語を必ずつけます。「天地万物の創造主よ、イスラエルから贖い出された神よ」というふうに。彼らの動機は、①そう祈ることによる祈りの効力、②人にりっぱに聞かせたいというものです。これらの祈りをイエスは禁止しています(マタイ6:5、7)。これらの祈りと、「父よ」との呼びかけの祈りとの決定的な違いは、神への信頼の度合いが違います。幼子にとって父親がどんな肩書きを持っているか、そんなことは無関係、パパはパパです!幼子は人に聞かせるのでもなく、言葉を取り繕うのでもありません。クリスチャンはイエスと同様に、アバと親しげに呼びかけることができる立場にあって喜んでいます。祈りを始められる方々、まず祈り方ではありません。神なる父と子どもである自分を意識し始めていただきたたいのです。信頼をもって神によびかけるとき、神は喜ばれます。